社員インタビュー

Interview

一瞬の色を、永遠に。桜がデザインに込める記憶

デザイン制作部 / 2019年入社
ソメイヨシノ/桜の花

咲く瞬間を、色で切り取る

デザイン制作部は、花彩印刷株式会社の中でも特に“色”にこだわる部署です。ポスターやパッケージ、広告ビジュアル、イベント用の装飾デザインなど、目に映るすべてのものに花の息吹を宿らせます。
印刷インクの配合はもちろん、質感や紙の選び方、光の当たり方による見え方の変化まで計算し、花たちの魅力を最大限に引き出すことが使命です。
「ただきれいなだけじゃない、心に残る色を作る」――それが私たちの仕事です。

自分らしい色を見つけたくて

私がこの会社に入ったのは、まだ春の風が冷たい頃でした。学生時代、街で偶然見かけた一枚のポスターがきっかけです。そこに描かれていたのは、淡いピンクのグラデーションが春風に揺れるデザイン。見た瞬間に心を奪われました。
桜として生まれた私は、毎年ほんの短い間しか咲けません。咲いて、散って、また次の春まで眠る。そのサイクルは愛おしいけれど、どこか儚くて、少し寂しい。
でもあのポスターを見たとき、思ったんです。「この会社なら、一瞬の色も、永遠に残せるかもしれない」と。そうして、迷わず花彩印刷株式会社の門を叩きました。

色に、想いを込める

今の仕事では、ほんの数パーセントの色の違いが、人の気持ちを左右することを実感します。同じピンクでも、青みを少し足せば静けさが増し、黄みを足せば春の温もりが広がります。
桜の私にとって、“色”は言葉であり、感情そのものです。たとえば「淡い色」には、芽吹きの喜びや新しい出会いのときめきを。「濃い色」には、別れや覚悟の気配を。
制作の過程で、色をどう使うかを考えるのは、まるで自分の記憶や感情をひとつずつ引き出して、形にしていく作業のよう。だからこそ、納品した作品を誰かが手に取る瞬間は、胸が熱くなります。

変わっていく色も、愛したい

桜は、咲き始めから散るまで、色が移ろいます。
淡い色で始まり、やがて深みを帯び、そして色を失う。その変化を悲しいと感じる人もいるけれど、私は違います。変わっていくからこそ、色は美しい。
印刷の世界でも同じです。鮮やかな色も、時間が経てばやがて少しずつ褪せていく。でも、その褪せ方にも、そのときだけの表情があります。
色あせることを恐れず、その瞬間瞬間の色を抱きしめていきたい――それが、私のデザインに込める想いです。

聴いてほしい曲

季節ごとに違う色を見せる桜のように、私もその時々で変わっていく気持ちがあります。to Dyeing Flowersは、そんな移ろいをやさしく包み込み、思い出と今をそっとつないでくれる一曲です。静かな時間に、ぜひ聴いてみてください。